2022年11月11日

国有林モニターに参加してきました。

今年度と来年度の2年間、国有林モニターとして勉強させてもらうことになりました。
国有林野の活用や森林資源の適正な管理・利用への理解を深める目的で農水省林野庁東北森林管理局が募集した事業です。

前回は岩手県の夏油スキー場に近い国有林で行われた治山事業(砂防ダム)の現場を見学しました。

2回目の今回は山形県の蔵王周辺で行われたオオシラビソ林再生の取り組み状況を見学してきました。

国有林モニターに参加してきました。

国有林モニターに参加してきました。

地蔵山頂駅付近の気温は約1℃。説明を聞いているうちに参加者一同ガチガチになってしまいました。笑

さて、オオシラビソといってもピンとこないですが、八甲田山や八幡平、蔵王などで冬の名物として知られる「樹氷」ができるあの木です。別名はアオモリトドマツ。

今回見学し山形蔵王では、地蔵山頂付近で2013年にトウヒツヅリヒメハマキによる葉の摂食被害が集中しておきたうえに、2016年から弱った木にトドマツノキクイムシが追い打ちをかけ、20haにも及ぶ地域でオオシラビソが枯死しているということでした。

国有林モニターに参加してきました。

蔵王にはよく出かけていたので、こんなもんなんだ(夏には葉がつくのだろう)と思っていたのですが、じつは深刻な事態だったんです。

近くで見ると、その状況はよりはっきりわかります。

国有林モニターに参加してきました。


「樹氷」は、それが見られる地域においては貴重な観光資源であり、これを守っていかなくてはならないということで山形森林管理署が中心となってオオシラビソ林再生の取り組みを進めているとのことです。

しかし、オオシラビソについては、スギのように人工的に生産していく技術が確立されておらず、現在、稚樹の試験移植や種子の貯蔵・発芽などの試験を進めている状況だそうです。

(ちなみに枯れてしまった木ですが、それでも冬には樹氷となって活躍してくれるので、倒さずに残しているのだそうです。夏場に見ると痛々しいですが)

国有林モニターに参加してきました。

国有林モニターに参加してきました。

山仕事で杉の植林も行いましたが、数万本という苗木がトラックで運ばれてくるところからしか見ていないので、丈夫な苗木を安定して生産できるようになるまでの道のりについて思いを巡らせることはありませんでした。

今回も、「枯れたなら苗木をどんどん植栽すればいいのに」くらいの考えも多少あったのですが、やはり現実ははるかに厳しいのですね。
稚樹の成長は1年に1~数センチ。
被害を受ける前の状態に戻るまでに70年かかると試算されているようですが、自然を相手にする事業はなんでも数十年単位での計画になりますね。

今は木を伐ることを仕事にしています。
大木があることで人間の生活に不便をきたし、やむなく伐り倒してしまう現場が数多くありますが、この頃は伐り倒すだけでなく枝を落とすことによってうまく共存できないかという観点からアプローチするようになってきました。

人の生活も大自然の中の一部。やはり何事もバランスが大事ですよね。
この頃夜更かしが多かったりするので、今日はしっかり昼寝もしようっと。



Posted by きこりや at 11:05│Comments(0)
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